| "全ては君の未来のために" 初夏の日差しが眩しい、6月。 僕が良く行く近所の公園の木々も、太陽の光を一杯に浴びて、緑色に輝いていた。 「今日の放課後、お前の気に入りの公園で待ってる」 手塚にそう言われたのは、部活の真っ只中のことで。 特に深く考えるわけでもなく、「分かった」と返事をした。 「ん」手塚はそれだけ残すと、すたすたと歩いていってしまった。 .....手塚のバカ。 僕は、彼の背中にそっと呟いた。 僕たち、付き合ってるんでしょ?もっと僕を必要としてくれたっていいじゃない。 しかしその想いは口に出されることはなく、僕の中に吸収されていく。 それにしても、手塚、何かあったのかな.....?手塚から誘うなんて珍しい...。 いつだって僕だった。案を出すのは。 僕の考えに、手塚はいつも何も言わず乗るだけだった。 .....手塚のバカ。 自分でも気づかないうちに僕は、また同じことを繰り返していた。 放課後。 公園のベンチに、手塚の姿があった。 周りは既に薄暗く、街灯が淡く灯っていた。 「ごめん、遅くなちゃった」 僕の姿を確認した手塚は、僕に答えることもせず、おもむろに立ち上がった。 「何かあったの?」 いつもとは明らかに違う彼の態度に、寒気を覚える。 少し後ずさりした僕の頬を、何も言わずに手塚が両手で挟む。 その手は、氷のように冷たい。 「....手塚?」 僕が手塚の顔を覗き込んだ、その時だった。 「.....不二、俺たち...」 「......別れよう」 えっ?今何て? 別れる、ってそう言ったの? 「どうしてっ、手塚!!」 彼のがっしりとした肩をつかんで思いっきり揺さぶってみても、何も言葉は返ってこない。 「何とか言ったらどうなの!?」 そんな僕の両肩を、手塚の大きな手が捉えた。 次の瞬間。 .........突然の、キス。 でもそれは、いつもの激しいキスとは違って、ただ触れる程度の、軽いものだった。 手塚は相変わらず、無表情のまま。 「君は、僕をからかって、そんなに楽しいの?」 怒ることもできず、笑って流すこともできず。 いつの間にか降り出した雨は、僕の頬の涙を隠す。 「からかってなどいない」 眼鏡に水滴がついて、手塚の瞳が良く見えない。 それでも僕は、やっと口を開き始めた手塚を、真っ直ぐに見つめていた。 「......男同士の恋愛には、無理がある。将来にも大きく係わってくるだろう。俺には俺の未来があるし、お前にはお前の未来がある。そんな貴重なものを、ここで壊すわけにはいかないんだ」 あぁ君は、僕より未来を取るんだね? 未来が大切なものじゃないなんて言うつもりはないけれど、所詮僕は、そんな程度の存在だったんだ......。 それじゃあまるで、僕は君の性的欲求を解消するだけの存在だったみたいじゃないか.....ッ。 「.......手塚のバカ....」 とうとう僕は、口に出してしまった。 今までずっと我慢してきたことが、堰を切ったように溢れ出す。 「君はいつも無愛想でッ.....僕にも一度だって笑ってくれなかった...。先頭に立つのはいつも僕で.....君は何も言わずただ後ろからついて来るだけで......それが僕にとってどんなに淋しいことだったか、君に分かる!?」 手塚は僕があまりにも喋るものだから、凄く驚いた様子だった。 そして僕はそんな手塚に背を向け、走った。 とにかく手塚から、離れたかった。 雨に打たれて僕は一人、家までの道を歩いていた。 もしかしたら、手塚が追いかけてきてくれるかも.....何て期待もあったけど、あくまでそれは期待でしかなかった。 一人歩く道に、大きすぎる雨の音が空しい。 ..........何で手塚が別れを切り出したのか。 やっぱり僕は、手塚の未来には敵わなかった、ってことか。 そう考えると、自分が惨めに思えてしょうがなかった。 バカみたい.....。 一人で本気になちゃって。相手にされなくて。 手塚より、僕のほうがよっぽどバカだよ......。 雨の降る道、まだ家までは遠く。 僕は手塚との思い出を身に纏い、歩いていた。 雨はまだ、止みそうにない......。 初めまして、今日は(*^ ^*)愛内日和(あいうち・日和)と申す者です。 何だか意味不明な話になってしまいましたが......(滝汗)塚不二の別れ、というものが書いてみたかったのです。 文句がおありになりましたら、メールにてお願いします......。 すみません、まだまだ未熟者なので.....温かく見守ってやって下さい。 |